振り返った先が週末だったというだけで

ひとつ目玉をなくした人形が
踊りを寂しさの代わりに見せてくれた

四肢と視線は宙を舞い
必死に踊り続ける

席を立つのも失礼だと
私の四肢はそのままにしていた

遠い遠い友の顔を思い出させるその動きに
勝手知ったる涙が颯爽と顔を出す

ねえ
踊ろう?
忘れたくないものを
届けてあげるからさ

人形の四肢の奏でる音が年代物の棺のようで
たまらなく私はうめいてしまった

ねえ
踊ろう?
忘れたくないものを
届けてあげるからさ

ねえ
踊ろう?

【Mar. 7, 2021】